古代から多文化共生社会❕

たつの市文化財課主催の歴史講座も、折返し点の5回目を迎えました。今回は『渡来人上陸』と題し、国宝である播磨風土記に残る、帰化人の記録をひもときながら、その足跡をたどる試みです。
母国への郷愁を少しずつ癒しながら、異国の文化と先進の技術を伝えると言う重要な役割を果たし、そして同化していく過程が、鮮やかに再現されました。
当時の朝鮮半島には、高句麗や百済等が割拠し、その覇を競い内乱が頻発したため、多くの人々が祖国を追われたのです。
その過程で、古墳時代の石室をはじめ須恵器、金細工等の最新技術が、渡来したと思われます。その証拠が市内の新宮姥塚古墳や、小神の西宮山古墳から多数発掘され、埋蔵文化財センターに、展示保管されています。
当時の交流は朝鮮半島に留まらず、中国漢とも盛んに行われ、風土記の記述の中に、林田町の伊勢に刀良等と言う漢人が住んでいた。そして太子町の平方に漢人が河内国枚方の里から移住してきたり、小宅の里は元来漢部と呼ばれ、漢人が住んでいたことに由来する等、国際色豊かな古代たつのの情景を、読み取ることができます。
さらに、平安初期815年に編纂された『新撰姓氏録』によると、1182姓の内約3割の326姓は、帰化人の名字であると、記されていることから、古代の倭国では、国際交流が活発で、異文化に寛容な多文化共生社会が実現され、開かれた国家像が鮮明に甦ってきます。
たつの市も中学生を姉妹都市アメリカコビントン市に派遣し、交流を続けて3回目を迎えました。引続き友好が深まり、心豊かな国際人に育ってくれることを期待したいと思います❗️